だじょうかん
太政官

冒頭文

一 太政官。それは私たちがまだ生れぬ前にあつたものださうな。—— 「太政官て何のことやいな、一體。」 「知らんのかいな、阿呆(あほ)。……教(をせ)へたろか、新田の茶瓶のこつちや。」 「そら知つてるがな、言はんかて。……其の太政官て何のことやね。」 「太政官ちうたら、太政官やがな。お上の役人のこつちや。」 中の村の青年會の事務所で、二人の若い男がこんなことを言つてゐると

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 鱧の皮
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1952(昭和27)年11月5日