こうふくのはさみ
幸福のはさみ

冒頭文

正吉(しょうきち)は、まだお母(かあ)さんが、ほんとうに死(し)んでしまわれたとは、どうしても信(しん)じることができませんでした。 しかし、お母(かあ)さんが、もうこの家(いえ)にいられなくなってから幾日(いくにち)もたちました。正吉(しょうきち)はその間(あいだ)、毎日(まいにち)お母(かあ)さんのことを思(おも)い出(だ)しては、さびしい日(ひ)を送(おく)りました。彼(かれ)は子

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人界 6巻11号」1922(大正11)年11月

底本

  • 定本小川未明童話全集 3
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年1月10日