ながぐつのはなし
長ぐつの話

冒頭文

あるところに、かわいそうな乞食(こじき)の子(こ)がありました。 さびしい村(むら)の方(ほう)から、毎日(まいにち)、町(まち)の方(ほう)へ、ものをもらいに追(お)い出(だ)されました。けれど、小(ちい)さな足(あし)には、なにもはくものがなかったのです。子供(こども)は跣足(はだし)で、長(なが)い石(いし)ころの多(おお)い道(みち)を、とぼとぼと歩(ある)かなければならなかった

文字遣い

新字新仮名

初出

「時事新報」1923(大正12)年8月26日

底本

  • 定本小川未明童話全集 3
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年1月10日