ちよがみのはる
千代紙の春

冒頭文

町(まち)はずれの、ある橋(はし)のそばで、一人(ひとり)のおじいさんが、こいを売(う)っていました。おじいさんは、今朝(けさ)そのこいを問屋(とんや)から請(う)けてきたのでした。そして、長(なが)い間(あいだ)、ここに店(みせ)を出(だ)して、通(とお)る人々(ひとびと)に向(む)かって、 「さあ、こいを買(か)ってください。まけておきますから。」と、人(ひと)の顔(かお)を見(み)なが

文字遣い

新字新仮名

初出

「少女倶楽部」1923(大正12)年9月

底本

  • 定本小川未明童話全集 3
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年1月10日