はてしなきせかい
はてしなき世界

冒頭文

ここにかわいらしい、赤(あか)ちゃんがありました。赤(あか)ちゃんは、泣(な)きさえすれば、いつも、おっぱいがもらわれるものだと思(おも)っていました。まことに、そのはずであります。いつも赤(あか)ちゃんが泣(な)きさえすれば、やさしいお母(かあ)さんはそばについていて、柔(やわ)らかな、白(しろ)いあたたかな乳房(ちぶさ)を赤(あか)ちゃんの唇(くちびる)へもっていったからであります。

文字遣い

新字新仮名

初出

「童話」1923(大正12)年3月

底本

  • 定本小川未明童話全集 3
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年1月10日