あほうどりのなくひ
あほう鳥の鳴く日

冒頭文

若者(わかもの)は、小(ちい)さいときから、両親(りょうしん)のもとを離(はな)れました。そして諸所(しょしょ)を流(なが)れ歩(ある)いていろいろな生活(せいかつ)を送(おく)っていました。もはや、幾年(いくねん)も自分(じぶん)の生(う)まれた故郷(こきょう)へは帰(かえ)りませんでした。たとえ、それを思(おも)い出(だ)して、なつかしいと思(おも)っても、ただ生活(せいかつ)のまにまに、その

文字遣い

新字新仮名

初出

「童話」1923(大正12)年9月

底本

  • 定本小川未明童話全集 3
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年1月10日