いしをのせたくるま
石をのせた車

冒頭文

あるところに、だれといって頼(たよ)るところのない、一人(ひとり)の少年(しょうねん)がありました。 少年(しょうねん)は、病気(びょうき)にかかって、いまは働(はたら)くこともできなかったのであります。 「これからさき、自分(じぶん)はどうしたらいいだろう。」と考(かんが)えても、いい思案(しあん)の浮(う)かぶはずもなかったのです。 いっそ死(し)んでしまおうかしらんと考

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人之友」1921(大正10)年9月

底本

  • 定本小川未明童話全集 3
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年1月10日