梅雨(つゆ)のうちに、花(はな)という花(はな)はたいていちってしまって、雨(あめ)が上(あ)がると、いよいよ輝(かがや)かしい夏(なつ)がくるのであります。 ちょうどその季節(きせつ)でありました。遠(とお)い、あちらにあたって、カン、カン、カンカラカンノカン、……という磬(けい)の音(おと)がきこえてきました。 「また、あのお祭(まつ)りの時節(じせつ)になった。ほんとうに月日