おおきなかに
大きなかに

冒頭文

それは、春(はる)の遅(おそ)い、雪(ゆき)の深(ふか)い北国(ほっこく)の話(はなし)であります。ある日(ひ)のこと太郎(たろう)は、おじいさんの帰(かえ)ってくるのを待(ま)っていました。 おじいさんは三里(り)ばかり隔(へだ)たった、海岸(かいがん)の村(むら)へ用事(ようじ)があって、その日(ひ)の朝早(あさはや)く家(いえ)を出(で)ていったのでした。 「おじいさん、いつ

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人公論」1922(大正11)年4月

底本

  • 定本小川未明童話全集 3
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年1月10日