あかいひめとくろいおうじ
赤い姫と黒い皇子

冒頭文

ある国(くに)に美(うつく)しいお姫(ひめ)さまがありました。いつも赤(あか)い着物(きもの)をきて、黒(くろ)い髪(かみ)を長(なが)く垂(た)れていましたから、人々(ひとびと)は、「赤(あか)い姫君(ひめぎみ)」といっていました。 あるときのこと、隣(となり)の国(くに)から、お姫(ひめ)さまをお嫁(よめ)にほしいといってきました。お姫(ひめ)さまは、その皇子(おうじ)をまだごらんに

文字遣い

新字新仮名

初出

「童話」1922(大正11)年9月

底本

  • 定本小川未明童話全集 3
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年1月10日