ひをてんず
火を点ず

冒頭文

村(むら)へ石油(せきゆ)を売(う)りにくる男(おとこ)がありました。髪(かみ)の黒(くろ)い蓬々(ぼうぼう)とした、脊(せい)のあまり高(たか)くない、色(いろ)の白(しろ)い男(おとこ)で、石油(せきゆ)のかんを、てんびん棒(ぼう)の両端(りょうはし)に一つずつ付(つ)けて、それをかついでやってくるのでした。 男(おとこ)は、勤勉者(きんべんもの)でありました。毎日(まいにち)、欠(

文字遣い

新字新仮名

初出

「種蒔く人」1921(大正10)年11月

底本

  • 定本小川未明童話全集 2
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年12月10日