いっぽんのかきのき
一本のかきの木

冒頭文

山(やま)にすんでいるからすがありましたが、そのからすは、もうだいぶん年(とし)をとってしまいました。若(わか)い時分(じぶん)には、やはり、いま、ほかの若(わか)いからすのように、元気(げんき)よく高(たか)い嶺(みね)の頂(いただき)を飛(と)んで、目(め)の下(した)に、谷(たに)や松林(まつばやし)や、また村(むら)などをながめて、あるときは、もっと山奥(やまおく)へ、あるときは、荒波(あ

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1921(大正10)年9月

底本

  • 定本小川未明童話全集 2
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年12月10日