はなとひとのはなし |
花と人の話 |
冒頭文
真紅(まっか)なアネモネが、花屋(はなや)の店(みせ)に並(なら)べられてありました。同(おな)じ土(つち)から生(う)まれ出(で)た、この花(はな)は、いわば兄弟(きょうだい)ともいうようなものでありました。そして、大空(おおぞら)からもれる春(はる)の日(ひ)の光(ひかり)を受(う)けていましたが、いつまでもひとところに、いっしょにいられる身(み)の上(うえ)ではなかったのです。 や
文字遣い
新字新仮名
初出
「少女の花」1923(大正12)年1月
底本
- 定本小川未明童話全集 2
- 講談社
- 1976(昭和51)年12月10日