しろいかげ
白い影

冒頭文

夏(なつ)の日(ひ)のことでありました。汽車(きしゃ)の運転手(うんてんしゅ)は、広(ひろ)い野原(のはら)の中(なか)にさしかかりますと、白(しろ)い着物(きもの)を着(き)た男(おとこ)が、のそりのそりと線路(せんろ)の中(なか)を歩(ある)いているのを認(みと)めました。 このあたりには人家(じんか)もまれであって、右(みぎ)を見(み)ても左(ひだり)を見(み)ても、草(くさ)の葉

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人公論」1923(大正12)年1月

底本

  • 定本小川未明童話全集 2
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年12月10日