きにのぼったこども |
木に上った子供 |
冒頭文
あるところに、辰吉(たつきち)という少年(しょうねん)がありました。辰吉(たつきち)は、小(ちい)さな時分(じぶん)に、父(ちち)や母(はは)に別(わか)れて、おばあさんの手(て)で育(そだ)てられました。 ほかの子供(こども)が、やさしいお母(かあ)さんにかわいがられたり、姉(ねえ)さんや、兄(にい)さんにつれられて、遊(あそ)びにいったりするのを見(み)ると、辰吉(たつきち)は、自分
文字遣い
新字新仮名
初出
「少年倶楽部」1927(昭和2)年7月
底本
- 定本小川未明童話全集 2
- 講談社
- 1976(昭和51)年12月10日