おんなのさかなうり
女の魚売り

冒頭文

ある空(そら)の赤(あか)い、晩方(ばんがた)のことであります。 海(うみ)の方(ほう)から、若(わか)い女(おんな)が、かごの中(なか)にたくさんのたいを入(い)れて、てんびん棒(ぼう)でかついで村(むら)の中(なか)へはいってきました。 「たいは、いりませんか。たいを買(か)ってください。」と、若(わか)い女(おんな)はいって歩(ある)きました。 この村(むら)に、一軒(

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1922(大正11)年4月

底本

  • 定本小川未明童話全集 2
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年12月10日