きまぐれのにんぎょうし
気まぐれの人形師

冒頭文

一 雪(ゆき)の降(ふ)らない、暖(あたた)かな南(みなみ)の方(ほう)の港(みなと)町(まち)でありました。 ある日(ひ)のこと、一人(ひとり)の娘(むすめ)は、その町(まち)の中(なか)を、あちらこちらと歩(ある)いていました。しばらく避寒(ひかん)に、こちらへやってきていたのですけれど、あまり日数(ひかず)もたちましたので、お父(とう)さんにつれられて、また北(きた)の方

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1923(大正12)年1月

底本

  • 定本小川未明童話全集 2
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年12月10日