きんぎんこばん
金銀小判

冒頭文

独(ひと)り者(もの)の幸作(こうさく)は、家(うち)の中(なか)に話(はな)し相手(あいて)もなくその日(ひ)を暮(く)らしていました。北国(きたぐに)は十二月(がつ)にもなると、真(ま)っ白(しろ)に雪(ゆき)が積(つ)もります。そのうちに、年(とし)の暮(く)れがきまして、そこ、ここの家々(いえいえ)では餅(もち)をつきはじめました。 隣(となり)は地主(じぬし)でありまして、たく

文字遣い

新字新仮名

初出

「良友」1920(大正9)年1月

底本

  • 定本小川未明童話全集 2
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年12月10日