しろすみれとしいのき |
白すみれとしいの木 |
冒頭文
一 北(きた)の方(ほう)のある村(むら)に、仲(なか)のよくない兄弟(きょうだい)がありました。父親(ちちおや)の死(し)んだ後(あと)は兄(あに)は弟(おとうと)をば、むごたらしいまでに、いじめました。 弟(おとうと)は、どちらかといえば、気(き)のきかない、おんぼりとした質(たち)で、学校(がっこう)へ行(い)っても、あまり物事(ものごと)をよく覚(おぼ)えませんでした。
文字遣い
新字新仮名
初出
「読売新聞」1920(大正9)年1月9~10日、12日
底本
- 定本小川未明童話全集 2
- 講談社
- 1976(昭和51)年12月10日