ちいさなくさとたいよう
小さな草と太陽

冒頭文

垣根(かきね)の内側(うちがわ)に、小(ちい)さな一本(ぽん)の草(くさ)が芽(め)を出(だ)しました。ちょうど、そのときは、春(はる)の初(はじ)めのころでありました。いろいろの花(はな)が、日(ひ)にまし、つぼみがふくらんできて、咲(さ)きかけていた時分(じぶん)であります。 垣根(かきね)の際(きわ)は、長(なが)い冬(ふゆ)の間(あいだ)は、ほとんど毎朝(まいあさ)のように霜柱(

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」赤い鳥社、1920(大正9)年11月

底本

  • 定本小川未明童話全集 2
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年12月10日