きえたうつくしいふしぎなにじ
消えた美しい不思議なにじ

冒頭文

それは、ここからは見(み)えないところです。 そこには黒(くろ)い、黒(くろ)い河(かわ)が流(なが)れています。どうしたことか、その河(かわ)の水(みず)は真(ま)っ黒(くろ)でありました。河(かわ)が真(ま)っ黒(くろ)であったばかりでなく、河原(かわら)の砂(すな)もまた真(ま)っ黒(くろ)でありました。そして、その河(かわ)は音(おと)もたてずに、また真(ま)っ黒(くろ)な大(お

文字遣い

新字新仮名

初出

「童話」1921(大正10)年8月

底本

  • 定本小川未明童話全集 2
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年12月10日