いっぽんのつりざお
一本の釣りざお

冒頭文

一 あるさびしい海岸(かいがん)に、二人(ふたり)の漁師(りょうし)が住(す)んでいました。二人(ふたり)とも貧(まず)しい生活(せいかつ)をしていましたから、町(まち)や都(みやこ)に住(す)んでいる人々(ひとびと)のように、美(うつく)しい着物(きもの)をきたり、うまいものをたくさん食(た)べたり、また、ぜいたくな暮(く)らしなどをすることは、思(おも)いもよらないことでありました。

文字遣い

新字新仮名

初出

「読売新聞」1921(大正10)年4月30日、5月2日~4日

底本

  • 定本小川未明童話全集 2
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年12月10日