きたのくにのはなし
北の国のはなし

冒頭文

あるところにぜいたくな人間(にんげん)が住(す)んでいました。時節(じせつ)をかまわずに、なんでも食(た)べたくなると、人々(ひとびと)を方々(かたがた)に走(はし)らしてそれを求(もと)めたのであります。 「いくら金(かね)がかかってもいいから、さがしてこい。」と、その人(ひと)はいいました。 ある日(ひ)のこと、その人(ひと)は、川魚(かわうお)が食(た)べたいから、釣(つ)ってき

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1921(大正10)年4月

底本

  • 定本小川未明童話全集 2
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年12月10日