とけいのないむら |
時計のない村 |
冒頭文
町(まち)から遠(とお)く離(はな)れた田舎(いなか)のことであります。その村(むら)には、あまり富(と)んだものがありませんでした。村(むら)じゅうで、時計(とけい)が、たった二つぎりしかなかったのです。 長(なが)い間(あいだ)、この村(むら)の人々(ひとびと)は、時計(とかい)がなくてすんできました。太陽(たいよう)の上(のぼ)りぐあいを見(み)て、およその時刻(じこく)をはかりま
文字遣い
新字新仮名
初出
「婦人公論」1921(大正10)年1月
底本
- 定本小川未明童話全集 1
- 講談社
- 1976(昭和51)年11月10日