とのさまのちゃわん
殿さまの茶わん

冒頭文

昔(むかし)、ある国(くに)に有名(ゆうめい)な陶器師(とうきし)がありました。代々(だいだい)陶器(とうき)を焼(や)いて、その家(うち)の品(しな)といえば、遠(とお)い他国(たこく)にまで名(な)が響(ひび)いていたのであります。代々(だいだい)の主人(しゅじん)は、山(やま)から出(で)る土(つち)を吟味(ぎんみ)いたしました。また、いい絵(え)かきを雇(やと)いました。また、たくさんの職

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人公論」1921(大正10)年1月

底本

  • 定本小川未明童話全集 1
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日