保険会社の役人テオドル・フィンクは汽車でウィインからリヴィエラへ立った。途中で旅行案内を調べて見ると、ヴェロナへ夜中に着いて、接続汽車を二時間待たなくてはならないということが分かった。一体気分が好くないのだから、こんなことを見付けて見れば、気はいよいよ塞いで来る。紙巻烟草に火を附けて見たが、その煙がなんともいえないほど厭(いや)になったので、窓から烟草を、遠くへ飛んで行くように投げ棄てた。外は色の