ひとりぶたい |
| 一人舞台 |
冒頭文
人物 甲、夫ある女優。乙、夫なき女優。 婦人珈琲店の一隅。小さき鉄の卓二つ。緋天鵞絨張の長椅子一つ。椅子数箇。○甲、帽子外套の冬支度にて、手に上等の日本製の提籠を持ち入り来る。乙、半ば飲みさしたる麦酒の小瓶を前に置き、絵入雑誌を読みいる。後対話の間に、他の雑誌と取り替うることあり。 甲。アメリイさん。今晩は。クリスマスの晩だのに、そんな風に一人で坐(すわ)っているところを見ると、まるで男の独者(ひ
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 於母影 冬の王 森鴎外全集12
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1996(平成8)年3月21日