やくほんファウストについて
訳本ファウストについて

冒頭文

私が訳したファウストについては、私はあの訳本をして自ら語らしめる積でいる。それで現にあの印行本にも余計な事は一切書き添えなかった。開巻第一の所謂(いわゆる)扉一枚の次に文芸委員会の文句が挿んであるが、あれも委員会からの注意を受けて、ようよう入れたのである。その裏に太田正雄さん、文壇での通名木下杢太郎さんがこの本の装釘をして下すったと云うことわりがきがドイツ文で書き入れてあるが、あれも文芸委員会の文

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • ファウスト 森鴎外全集11
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年2月22日