ふくしんだん
不苦心談

冒頭文

一 ファウストを訳した時の苦心を話すことを、東亜之光の編者に勧められた。然るに私は余り苦心していない。少くも話の種にする程、苦心していない。こう云うのがえらがるのでないことは勿論である。また過誤のあった時、分疏(ぶんそ)をするために予め地をなして置くのでもない。これは私の性質と境遇とから生じた事実である。あるいはそれではギョオテに済むまいと誚(せ)められるかも知れない。しかしこれまで舞台

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • ファウスト 森鴎外全集11
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年2月22日