ファウスト
ファウスト

冒頭文

薦むる詞(ことば) 昔我が濁れる目に夙(はや)く浮びしことある よろめける姿どもよ。再び我前に近づき来たるよ。 いでや、こたびはしも汝達(なんたち)を捉へんことを試みんか。 我心猶(なお)そのかみの夢を懐かしみすと覚ゆや。 汝達我に薄(せま)る。さらば好し。靄(もや)と霧との中より 5 我身のめぐりに浮び出でて、さながらに立ち振舞へかし。 汝達の列(つら)のめぐりに漂へる、奇(

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • ファウスト 森鴎外全集11
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年2月22日