じゆうのしんずい
自由の真髄

冒頭文

内部の矩と外部の矩 論語にある「己(おのれ)の欲するところに従えども矩(のり)を踰(こ)えず」の一句こそ実に自由の定義を能(よ)く述べて尽したものであると前号に説明し、然(しか)らば矩とは何なるかと反問し、これには大略内部と外部との二つに分つことが出来ようと述べた。外部の矩とは外部より来る要求、圧迫、強制等で、風俗習慣も一国の法律もその類であるが、しかしこの意味に於ける外部の矩も自分が心

文字遣い

新字新仮名

初出

「実業之日本 二二巻五号」実業之日本社、1919(大正8)年3月1日

底本

  • 新渡戸稲造論集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2007(平成19)年5月16日