ひだりのまど
左の窓

冒頭文

今年(ことし)四月(しぐわつ)二十九日(にじふくにち)、新橋發(しんばしはつ)、汽車(きしや)は午前(ごぜん)六時半(ろくじはん)なれども、三十日(みそか)を前(まへ)に控(ひか)へたれば、未(ま)だ夜(よ)の明(あ)けぬに出立(いでた)つ。夜逃(よにげ)の體(てい)に似(に)たるかな。旅馴(たびな)れぬ身(み)のしをらしくも心(こゝろ)急(せ)きたるなり。柳(やなぎ)の翠(みどり)ほのぼのと、丸

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「新小説 第九年第七巻」1904(明治37)年7月1日

底本

  • 鏡花全集 巻二十七
  • 岩波書店
  • 1942(昭和17)年10月20日