とわだのなつぎり
十和田の夏霧

冒頭文

彼處(かしこ)に、遙(はるか)に、湖(みづうみ)の只中(たゞなか)なる一點(いつてん)のモーターは、日(ひ)の光(ひかり)に、たゞ青瑪瑙(あをめなう)の瓜(うり)の泛(うか)べる風情(ふぜい)がある。また、行(ゆ)く船(ふね)の、さながら白銀(しろがね)の猪(しゝ)の驅(か)けるが如(ごと)く見(み)えたるも道理(ことわり)よ。水底(みなそこ)には蒼龍(さうりう)のぬしを潛(ひそ)めて、大(おほい

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 鏡花全集 巻二十七
  • 岩波書店
  • 1942(昭和17)年10月20日