ひとまろのつま
人麿の妻

冒頭文

人麿の妻は、万葉の歌から推しても、二人だといふ説があり、三人だといふ説があり、四人だといふ説があり、五人だといふ説がある。今次に可能の場合を記載しながら、決定して行き、先進の説を附載するつもりである。 (一) 軽娘子。 人麿が、妻が死んだ後泣血哀慟して作つた長歌、(巻、二二〇七、二一〇、二一三)のはじめの歌に、『軽(かる)の路(みち)は吾妹子が里にしあれば、……吾妹子が止まず出で見し軽(かる

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆61 万葉(一)
  • 作品社
  • 1987(昭和62)年11月25日