こんせいふうのきょういく
今世風の教育

冒頭文

私が始終青年のために憂(うれ)えていることの一つは、概して日本の青年は薄ッぺらであるということ。書物を読むにいささか文字を頭に入れるというだけに止(とど)まって、その文の精神を解することを力(つと)めないし、甚(はなはだ)しきはその意味さえも理解しないでいる者が多い。その癖に大きな書物を読みたがる。難(むつ)かしい書物を手にしている。この点に於ては、外国殊(こと)に亜米利加(あめりか)だの欧羅巴(

文字遣い

新字新仮名

初出

「青年界 二巻一〇号」金港堂書籍、1903(明治36)年8月1日

底本

  • 新渡戸稲造論集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2007(平成19)年5月16日