そうえんせき
蒼炎石

冒頭文

友人シャーロック・ホームズのもとを、私はクリスマスの二日後に訪れた。時候の挨拶をしようと思ったのだ。ホームズは紫の化粧着姿で、ソファにくつろいでいた。右手の届くところにパイプ置きがあり、今読んでいるところなのだろう、手元にはぐちゃりと朝刊の山が積まれている。ソファのそばには木の椅子があり、背の角にちょうど、趣味の悪い堅めのフェルト帽がひっかけられていた。ずいぶんくたびれていて、何ヶ所か破れてしまっ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本