こうしとかんちゅう
孔子と管仲

冒頭文

儒家の政治に關する理想は、君主其仁義の徳を修め、推して之を四海に擴むるにある。所謂人に忍びざるの心を以て、人に忍びざるの政を行ひ、教養並待ちて、天下の民、匹夫匹婦まで其澤を被らざるものなきに至るを以て王道の極功として居る。覇者の政は即ち之に異り、或場合には、仁義道徳を云々するけれども、是れ其美名を假るに過ぎない。又其政治は時としては人民に幸福を與へ、顯著なる事功を生ずることもあれど、其實彼等には其

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「支那學 第三卷第二號」1922(大正11)年11月

底本

  • 支那學文藪
  • みすず書房
  • 1973(昭和48)年4月2日