にんじん
にんじん

冒頭文

鶏 ルピック夫人はいう—— 「ははあ……オノリイヌは、きっとまた鶏小舎(とりごや)の戸を閉(し)めるのを忘れたね」 そのとおりだ。窓から見ればちゃんとわかるのである。向こうの、広い中庭のずっと奥のほうに、鶏小舎の小さな屋根が、暗闇の中に、戸の開(あ)いているところだけ、黒く、四角く、くぎっている。 「フェリックスや、お前ちょっと行って、閉めて来るかい」 と、ル

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • にんじん
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1950(昭和25)年4月1日、1976(昭和51)年2月16日第31刷改版