一 うす穢い兵隊服にズダ袋一つ背負つた恰好の佐太郎が、そこの丘の鼻を廻れば、もう生家が見えるという一本松の田圃路まで来たとき、フト足をとめた。 いち早くただ一人、そこの田圃で代掻をしてる男が、どうも幼な友達の秀治らしかつたからである。 頭の上に来かかつているお日様のもと、馬鍬を中にして馬と人が、泥田のなかをわき目もふらずどう〳〵めぐりしているのを見ていると、佐太郎はふと、ニユーギニヤに渡る