ばいかいしゃ |
| 媒介者 |
冒頭文
青山夫人と自分と出來て了つた翌朝のこと二人の仲を取り持つた指井から電話が掛つてた。尤も明白地(あからさま)に指井とは云はぬ、『友人です、お掛りになれば分明(わか)ります。』とだけで名前を云はない。 『隨分變なお方ですね。』 と取り次いだ女中が言つた。 掛つてみると、電話口ながら何とやら冷かすやうな聲で、 『今日お出でになるでせう。』と 故意(わざ)と鹿爪らしい調子で訊く。 『如何しやうか
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「東亞文藝 第一卷第四號」1909(明治42)年4月
底本
- 發禁作品集
- 八雲書店
- 1948(昭和23)年9月1日