げんじものがたり 42 まぼろし
源氏物語 42 まぼろし

冒頭文

大空の日の光さへつくる世のやうやく 近きここちこそすれ    (晶子) 春の光を御覧になっても、六条院の暗いお気持ちが改まるものでもないのに、表へは新年の賀を申し入れる人たちが続いて参入するのを院はお加減が悪いようにお見せになって、御簾(みす)の中にばかりおいでになった。兵部卿(ひょうぶきょう)の宮のおいでになった時にだけはお居間のほうでお会いになろうという気持ちにおなりになっ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 全訳源氏物語 中巻
  • 角川文庫、角川書店
  • 1971(昭和46)年11月30日改版