ふかがわのうた
深川の唄

冒頭文

一 四谷見付(よつやみつけ)から築地両国行(つきじりょうごくゆき)の電車に乗った。別に何処(どこ)へ行くという当(あて)もない。船でも車でも、動いているものに乗って、身体(からだ)を揺(ゆす)られるのが、自分には一種の快感を起させるからで。これは紐育(ニューヨーク)の高架鉄道、巴里(パリー)の乗合馬車の屋根裏、セエヌの河船(かわぶね)なぞで、何時(いつ)とはなしに妙な習慣になってしまった

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • すみだ川・新橋夜話 他一篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1987(昭和62)年9月16日