ハイデッゲルきょうじゅのおもいで
ハイデッゲル教授の想い出

冒頭文

私がハイデルベルクからマールブルクへ移ったのとちょうど同じ頃にハイデッゲル氏はフライブルクからマールブルクへ移って来られた。私は氏の講義を聴くためにマールブルクへ行ったのである。 マールブルクに着いてから間もなく私は誰の紹介状も持たずにハイデッゲル氏を訪問した。学校もまだ始まらず、来任早々のことでもあって、ハイデッゲル氏は自分一人或る家に間借りをしておられたが、そこへ私は訪ねて行ったので

文字遣い

新字新仮名

初出

「読書と人生」1939(昭和14)年1月

底本

  • 読書と人生
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1974(昭和49)年10月30日