| ぶしどうのやま  | 
| 武士道の山 | 
冒頭文
武士道は斜面緩かなる山なり。されど、此処彼処(ここかしこ)に往々急峻なる地隙、または峻坂なきにしも非(あ)らず。 この山は、これに住む人の種類に従って、ほぼ五帯に区分するを得べし。 その麓に蝟族する輩は、慄悍なる精神と、不紀律なる体力とを有して、獣力に誇り、軽微なる憤怒にもこれを試みんと欲する粗野漢、匹夫の徒なり。彼らはいわゆる「野猪武者」にして、戦時には軍隊の卒伍を成し、平時
文字遣い
 新字新仮名 
 初出
 「英文新誌 三巻一七号」1906(明治39)年3月15日 
 底本
- 新渡戸稲造論集
- 岩波文庫、岩波書店
- 2007(平成19)年5月16日