げんじものがたり 32 うめがえ |
源氏物語 32 梅が枝 |
冒頭文
天地(あめつち)に春新しく来たりけり光源氏の みむすめのため (晶子) 源氏が十一歳の姫君の裳着(もぎ)の式をあげるために設けていたことは並み並みの仕度(したく)でなかった。東宮も同じ二月に御元服があることになっていたが、姫君の東宮へはいることもまた続いて行なわれて行くことらしい。一月の末のことで、公私とも閑暇(ひま)な季節に、源氏は薫香(くんこう)の調合を思い立った。
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 全訳源氏物語 中巻
- 角川文庫、角川書店
- 1971(昭和46)年11月30日改版