いなきこう
伊那紀行

冒頭文

此度の信州旅行は、伊那の高遠町の名高い小彼岸櫻を見る事と、天龍峽の芽吹きの若葉を見たい爲であつたが、高遠町の方には更に永年心にかけてゐた老女繪島の遠流の事蹟をしらべたい私の念願が果されて、はからずも伊那の友人によつて、彼の地に繪島の研究者があり、その人に紹介の勞をとつてもらふ事が出來る事になつた大きな目的を持つてゐたのである。 五月一日の朝、私は郷里下諏訪町まで迎へに來てくれた友人有賀氏

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 信濃詩情
  • 明日香書房
  • 1946(昭和21)年12月15日