げんじものがたり 26 とこなつ
源氏物語 26 常夏

冒頭文

露置きてくれなゐいとど深けれどおも ひ悩めるなでしこの花   (晶子) 炎暑の日に源氏は東の釣殿(つりどの)へ出て涼んでいた。子息の中将が侍しているほかに、親しい殿上役人も数人席にいた。桂(かつら)川の鮎(あゆ)、加茂(かも)川の石臥(いしぶし)などというような魚を見る前で調理させて賞味するのであったが、例のようにまた内大臣の子息たちが中将を訪(たず)ねて来た。 「寂しく

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 全訳源氏物語 中巻
  • 角川文庫、角川書店
  • 1971(昭和46)年11月30日改版