めいじさんじゅうさんねんじゅうがつじゅうごにちきじ
明治卅三年十月十五日記事

冒頭文

余が病体の衰へは一年一年とやうやうにはなはだしくこの頃は睡眠の時間と睡眠ならざる時間との区別さへ明瞭に判じ難きほどなり。睡(ねむり)さめて見れば眼明(あきら)かにして寝覚(ねざめ)の感じなく、眼を塞(ふさ)ぎて静かに臥(ふ)せばうつらうつらとして妄想はそのままに夢となる。されば朝五時六時頃に眼さむるを常とすれど朝の疲労せる時間を起きて頭脳を使はんは少しにても静かにあらんに如(し)かずと、七時八時頃

文字遣い

新字旧仮名

初出

「ホトトギス 第四巻第二号」1900(明治33)年11月20日

底本

  • 飯待つ間
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1985(昭和60)年3月18日