とほりょこうをよむ
徒歩旅行を読む

冒頭文

紀行文をどう書いたら善いかという事は紀行の目的によって違う。しかし大概な紀行は純粋の美文的に書くものでなくてもやはり出来るだけ面白く書こうとする即(すなわち)美文的に書こうとする、故に先ず面白く書くという事はその紀行全部の目的でなくても少くも目的の五分は必ずこれであると極めて置いて、さてその外の五分は人によって種々雑多に書かれて居る事である。一、二の例をいうて見ると、山水の景勝を書くのを目的とした

文字遣い

新字新仮名

初出

「徒歩旅行」俳書堂、1902(明治35)年7月9日

底本

  • 飯待つ間
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1985(昭和60)年3月18日