くだもの
くだもの

冒頭文

植物学の上より見たるくだものでもなく、産物学の上より見たるくだものでもなく、ただ病牀で食うて見たくだものの味のよしあしをいうのである。間違うておる処は病人の舌の荒れておる故と見てくれたまえ。 ○くだものの字義 くだもの、というのはくだすものという義で、くだすというのは腐ることである。菓物(くだもの)は凡て熟するものであるから、それをくさるといったのである。大概の菓物はくだものに違いないが、栗

文字遣い

新字新仮名

初出

「ホトトギス 第四巻第六号」1901(明治34)年3月20日、「ホトトギス 第四巻第七号」1901(明治34)年4月25日

底本

  • 飯待つ間
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1985(昭和60)年3月18日